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はじめに
数ある国家資格の中でも特に受験者数が多いとされている危険物取扱者試験乙種第4類、通称”乙4″。
合格のためには、化学、法令、性質・消火の3つの科目でそれぞれ6割以上正答する必要があります。
そのため、覚えることがとても多い!
「申し込んだはいいけど、どこから覚えればいいのかわからない」
「どこが重要なのかわからない」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、乙4に一発合格したわたしが、とくに押さえておくべきだと思ったポイントを解説していきます。

1.危険物は常温で「固体」か「液体」
消防法上の危険物は、常温・1気圧で「固体」か「液体」と定められています。
そのため、プロパンガスや都市ガスなどは、消防法上の危険物には含まれません。
「選択肢の中で、消防法上の危険物に含まれる(含まれない)ものはどれか」
のような問題はよく出るので、押さえておきましょう。
消防法上の危険物に、常温・1気圧で「気体」のものはありません。
2.第3類、第5類は特にキケン!
危険物取扱者乙種第4類の試験でも、他の類の危険物の分類を知っておく必要があります。
第1類は「酸化性固体」、第2類は「可燃性固体」、第3類は「自然発火性物質及び禁水性物質」、
第4類は「引火性液体」、第5類は「自己反応性物質」、第6類は「酸化性液体」です。
この中で、第3類は空気や水と反応して発火する物質です。カリウムやリチウムがこれにあたります。
第5類は単独で爆発的に燃える物質。ニトロ化合物や有機過酸化物がこれに含まれます。
第3類と第5類に共通して言えるのは、
どちらも、普通に置いておいただけで発火・爆発の危険がある、ということ。
「この2つはとくに危ない」と知っていれば、解ける問題が増えるはずです。
ちなみに、
第1類と第6類は「それ自身は不燃物」というのも覚えておくといいです。

3.第4類はだいたい静電気をためる
危険物を覚える時に非常に大切なのが、静電気に関連すること。
第4類の危険物は電気を通さないものが多いです。
そのため、高速で流すと静電気を蓄えたり、放電したりすることも……。
放電による火花が熱源となって、ガソリン等に引火することもあるので、注意が必要です。
おもな静電気対策は以下の通りです。
・危険物を激しく動かさない
・危険物容器などは電気を逃がすものにする
・容器や機器、人体を接地する
・従事者の服や靴は、帯電しないものを選ぶ(合成繊維は避ける)
・部屋の湿度を高くする
たとえば、「ガソリンは流量を多くして、はやめに作業を終わらせるのがよい」などの記述があったらもれなく間違いです。
正しい静電気対策を覚えておくようにしましょう。
4.第4類に「無臭」のものはない
「性質・消火」でよく問われるのが、危険物の特徴を答える問題です。
では、下の問題を例に考えます。
【問題】
ガソリンの特徴に当てはまらないものを選べ。
1.静電気が蓄積されやすい
2.無臭の液体である
3.引火点が低く、常温で引火する
4.発火点は軽油や灯油よりも高い
5.蒸気比重が1より大きい
この問題の正解は「2.無臭の液体である」です。
ガソリンに限らず、第4類の危険物には特徴的な臭いがあります。
第4類の危険物に無臭のものはない、と覚えておきましょう。
なお、参考書には「腐敗臭」「甘い臭い」など、危険物によって臭いの違いが書かれていますが、
臭いの違いが試験で問われることはあまりないので、後回しでも問題ありません。
5.水での消火はだいたい不適
第4類の特徴として、液体比重が1より小さいものが多い、というのがあります。
つまり、水に浮くということ。
また、第4類の危険物は水に溶けないものが多数派です。
そのような危険物が原因の火災では、水での消火がNGです。
なぜなら、水で危険物が流されて延焼してしまうおそれがあるため。
水で消火してよいものもありますが、
問題で聞かれたときは、だいたい「水での消火はダメ」と考えていいと思います。
6.燃焼の3要素:可燃物・酸化剤・熱源
燃焼は、可燃物・酸化剤・熱源の3要素がそろうことで起こります。
可燃物とは、木や燃料などの燃えるもののこと。
ガソリンなどもこれにあたります。
次に酸化剤とは、酸素や酸化性物質のこと。
燃焼とは、物体中の水素や炭素が酸素と結合し、水や二酸化炭素を発生する反応です。
そのため、酸素が必要なのです。
最後に熱源とは、火や高温物体などの「熱い」もの。
ここで注意が必要なのは、静電気などによる火花も熱源になるということ。
だから、静電気には注意する必要があるのです。
逆に言えば、3要素のどれか1つを取り除けば消火できるということ。
それについては次の項目で説明します。
7.消火は冷却だけじゃない
消火方法には、除去、冷却、窒息、抑制があげられます。
除去消火とは、可燃物を取り除くこと。
火を吹き消したり、ガスの元栓を閉めたりすることが代表例です。
冷却消火とは、熱源を冷却すること。
一般的な、火に水をかける消火がこれにあたります。
窒息消火とは、燃焼物の周りの酸素を遮断すること。
小学校で使ったアルコールランプは、蓋をすることで火を消しましたよね。
あれが窒息消火にあたります。
最後に、抑制消火とは、消火剤で燃焼反応を抑制すること。
ハロゲン化物消火剤や粉末消火剤を使います。
このように、消火の方法はいろいろあります。
すべての火災に水が使えるわけではないことを頭に入れ、
消火効果や消火剤の種類を覚えましょう。

8.蒸気は屋外の高所に逃がす
第4類の危険物の蒸気は、すべて空気よりも重いです。
そのため、蒸気は低いところに溜まることになります。
すると、危険物の蒸気の濃度が上がり、火災の危険が高まります。
そうならないために、製造所等では、蒸気を下に溜めない工夫が必要です。
屋外の高所に逃がすことで、蒸気が拡散され空気中の濃度が下がり、
火災の危険が小さくなるのです。
9.免状関係の手続きは都道府県知事あて
試験に受かったからといって、すぐに危険物取扱者になれるわけではありません。
交付の手続きを行い、免状をもらうことで初めて、危険物取扱者として従事できるのです。
また、免状を取得してからも、必要に応じた住所や写真の書換えや、免状をなくしたときには再交付が必要です。
これらの手続きはすべて、都道府県知事あてに申請します。
交付は、受験地の都道府県知事にしか申請できませんが、
書換えでは、交付地、居住地、勤務地の都道府県のいずれでも可能です。
書換えが必要なのは、氏名が変わったときと、本籍地の都道府県が変わったときです。
引っ越しをしても、本籍地の都道府県が変わらなければ、申請の必要はありません。
また、顔写真変更のために10年ごとの書換えが必要です。
また、免状の再交付は、交付または書換えをした都道府県知事に申請します。
交付または書換えをした都道府県しか、再交付のために必要な情報を持っていないためです。
10.保安講習が必要なのは一部の人のみ
危険物取扱作業に従事する危険物取扱者は、定期的に保安講習を受ける必要があります。
講習は、全国どこの都道府県で受けても有効です。
そのため、危険物取扱作業に従事していない免状保有者や、
免状を持っていない危険物作業従事者は保安講習を受ける必要がありません。
免状保有者が、新しく危険物作業に従事することになった場合などは、
保安講習を受けなければならない時期が別途決められています。
さいごに
この記事では、性質や法令で必要な暗記をなるべく排除し、おさておくべきポイントのみを解説しました。
この記事を読んだだけでも、解ける問題が少し増えるのではないかと思います。
もちろん、合格のためには暗記も必要です。
参考書などを活用し、暗記が必要なところは何周もして覚えましょう。
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