はじめに
わたしたちの生活で最も身近な金属と言ってもよい鉄。
なぜこんなにも身の回りにあふれているのか、気になったことはありませんか?
今回は、鉄の性質と用途について、詳しく説明していきます。
Fe(鉄)をひとことで表すと?
磁性を持ち、強度と耐久性に優れた金属元素です。

Fe(鉄)の優れている点とは?
- 強度
鉄は強度と耐久性に優れています。これは建築物、橋梁、自動車、鉄道、船舶など、さまざまな分野で利用されています。その強靭さは、大規模な構造物や機械部品の製造に不可欠であり、長期間にわたって安定した性能を保ちます。 - 加工のしやすさ
鉄は加工しやすく、多様な形状に成形することができます。これは製造業において重要であり、鉄は溶接、鍛造、押し出し、切削などの加工法によって様々な製品に加工されます。そのため、工業製品の設計や製造において柔軟性が高く、多岐にわたるニーズに対応できる素材として評価されています。 - 磁性
鉄は磁性を持つため、電磁機器や磁気材料としても広く利用されています。電動機、トランス、発電機などの電気機器において、鉄はコア材料として磁気回路を形成し、電磁場の効率的な制御を可能にします。この特性は、エネルギー変換や情報通信技術において不可欠であり、現代社会の基盤を支える一因となっています。
Fe(鉄)の問題点とは?
- 錆びやすさ
鉄の最大の課題は錆びやすさです。鉄は空気中の酸素と反応しやすく、酸化して錆が発生します。この錆は鉄の表面を侵食し、製品の見た目や機能性を損なうだけでなく、寿命を短くする要因となります。特に屋外で使用される鉄製品や建築物は錆びやすく、定期的なメンテナンスが必要です。 - 重い
鉄は高い密度を持ち、重量があります。そのため、大規模な構造物や車両においては強度を確保するために必要ですが、移動性や運搬性を制限することがあります。特に自動車や航空機などの輸送手段において、鉄の重量は燃費や性能に影響を与える可能性があります。 - 磁場の影響を受けやすい
鉄は磁性を持つため、周囲の磁場に影響を受けやすいです。これは電子機器や精密機器の正確な動作に影響を与える可能性があります。電磁気的な干渉を受けないように、部品同士を離して配置する必要が出てきてしまうのです。すると、製品を小型化したいときには嫌ですよね。そのため、磁場の影響を受けにくい金属がとってかわるようになっています。 - 融点が高い
鉄は高い融点を持ち、加工には高温が必要です。また、鉄の硬さや弾性率が高いため、加工時には適切な技術や設備が必要となります。これにより製造プロセスが複雑化し、コストが上昇する可能性があります。
以上の理由から、最近は、鉄よりも軽量で加工しやすいアルミニウムが多くの工業製品に使われるようになってきています。
Fe(鉄)はどこに使われている?
- 建築材料
鉄は建築業界で幅広く利用されており、鉄骨構造や鋼製の柱や梁は建物の基盤となります。一見コンクリート製の建物に見えても、その内部には鉄骨が入っている場合がほとんどです。これらの構造は高い強度と耐久性を提供し、大規模な建築物や高層ビルの安定性を確保します。また、鉄は建築の美観や機能性にも貢献し、現代の都市景観を形成する重要な要素です。 - 車両製造
自動車や列車などの車両製造において、鉄は重要な素材です。車体やエンジン部品、サスペンション、ブレーキなどの部品に鉄が使用され、車両の安全性と性能を向上させます。また、鉄は衝撃や振動に対する耐久性が高く、運行中の安定性を確保します。 - 電気機器
鉄は電磁性があり、電気機器のコア材料として広く利用されています。トランスやモータ、発電機などのコアには鉄が使用され、電磁場を効率的に制御し、電力の変換や伝送を可能にします。このように、鉄は電気機器の性能向上と省エネルギー化に貢献しています。
さいごに
鉄にはいろいろな優れた点があります。
ビデオゲームでも、鉄製の武器は強いですよね。
さまざまな金属が活用されるようになった今でも、機械材料の立場から見ると、「鉄」か「それ以外」かで語られることが多いです。
金属材料の専門家的にはナンセンスらしいですが……。
気になった方は、もっと専門的に調べてみてくださいね。
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